PCBとは?
PCBはPoly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)の略称です。人工的に作られた主に油状の化学物質です。水に溶けにくく沸点が高い、熱で分解しにくい、不燃性、電気絶縁性が高いなどの特徴があります。また、化学的にも性質が安定しているため、電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙など様々な用途で利用されていました。昭和47年(1972年)の行政指導(通産省)により製造中止となり、現在は製造・輸入ともに禁止されています。
PCBによる毒性の問題
PCBは健康への影響がある化学物質です。脂肪に溶けやすい性質があり、慢性的な摂取により体内に徐々に蓄積して様々な症状を引き起こすことが報告されています。昭和43年(1968年)に食用油の製造過程において熱媒体として使用されたPCBが混入し、健康被害を発生させたカネミ油症事件があります。カネミ油症は、昭和43年10月に西日本を中心に広域にわたって発生した、ライスオイル(米ぬか油)による食中毒事件で、吹出物、色素沈着、目やになどの皮膚症状のほか、全身倦怠感、しびれ感、食欲不振など多様な症状を引き起こしました。
低濃度PCB廃棄物について
低濃度PCB廃棄物の処分期間は、PCB特措法において令和9年(2027年)3月31日で終了します。処分期間内に施設内の電気設備を総点検し、該当する電気機器がないかご確認をお願いします。
製造から30年以上経過した古い電気機器には、PCB濃度が基準の0.5mg/kg(=ppm)を超え、汚染されているものがあります。可能性がある機器類は以下の写真をご覧ください。
微量PCB汚染の可能性がある電気機器は、自家用電気工作物の変圧器や電力用コンデンサー等の他にも、電気溶接機、X線照射装置、昇降機、分電盤、モーターなどに付属又は内蔵するコンデンサーがあります。
まずは電気機器の銘板情報等から製造年を確認し、採油可能な機器は採油してPCB濃度を測定してください。出荷時点において微量PCB汚染の可能性がある電気機器の製造時期は次のとおりです。
・絶縁油の交換が可能な変圧器等:平成5年(1993年)以前
・絶縁油封じ切りのコンデンサー:平成2年(1990年)以前
低濃度PCB該当性判断方法
・微量PCBの分析を行う機関は(一社)日本環境測定分析協会のホームページで検索できます。
・絶縁油封じ切り機器や絶縁油の封入量が少量である小型の変圧器等では、確実にPCBを絶縁油に使用していないことが銘板情報等から明らかであれば、分析値がなくても低濃度PCB廃棄物として無害化処理事業者に委託して処理することができます。
・低濃度PCBに汚染された電気機器等の早期確認のための調査方法及び適正処理に関する手引き(基礎編)
低濃度 PCB に汚染された電気機器等の早期確認のための調査方法及び適正処理に関する手引き(技術者向け詳細版)
使用中の自家用電気工作物がPCBに汚染されている場合は、電気事業法の電気関係報告規則に従って管轄の産業保安監督部に届出をしてください。また、廃棄されたものも含め、PCB特措法に従って管轄の自治体に届出をしてください。
低濃度PCB汚染の
可能性がある代表的な機器類
自家用電気工作物の変圧器や電力用コンデンサー等の他に、 非自家用電気工作物の低圧コンデンサー、溶接機等に内蔵するコンデンサーなどにも低濃度PCB汚染の可能性があります。お手元の機器をご確認ください。
自家用電気工作物
変圧器
電力用コンデンサー
計器用変成器
リアクトル
電圧調整機
整流器
非自家用電気工作物
低圧コンデンサー
X線発生装置
X線検査装置
電気溶接機
画像引用元:環境省
調査方法と手順
自家用電気工作物
調査方法
工場やビル等の事業場内に6,600V以上の電気を引き込んで受電し、各種設備に供給するために100Vから200V等の低圧に変換する機器として、自家用電気工作物の高圧受電設備があります。
変圧器、遮断機、コンデンサー等とともに設置されている高圧受電設備は通常、キュービクルと呼ばれる金属箱の中にあります。
感電するおそれがあるため、使用中の電気機器の確認は、定期点検などの機会を捉え、必ず電気主任技術者等に依頼し、調査を行うようにしてください。
調査手順
高圧受電設備の設備台帳に記載された電気機器と現物を比較し、機器名称、製造者名、型式、要領、製造年等の記載漏れや誤記がないかを検証してください。
受電設備内の機器だけでなく、配電図を参照しながら、電力用コンデンサーやリアクトル、遮断機等が設置されていないかを確かめてください。
※感電のおそれがあるため、使用中の電気機器の確認は必ず停電後に実施してください。
もし台帳に記されていない機器があれば、銘板情報から機器名称、製造者名、型式、要領、製造年を確認し、記録してください。
非自家用電気工作物(低圧コンデンサー)
調査方法
低圧受電する設備の分電盤内のコンデンサーや溶接機等に内蔵されたコンデンサー等の自家用電気工作物以外の機器は、ご自身でメーカーに直接確認するか、電気工事業者等に依頼して行ってください。
調査手順
届 出
使用中の電気機器の場合
使用中の電気機器が低濃度PCB含有電気工作物に該当することが判明した場合は、電気事業法の電気関係報告規則に従い、電気機器を設置している場所を管轄する産業保安監督部に遅滞なく届出をすることが必要です。
設置者の氏名や住所の変更、事業場の名称、所在地の変更時、廃止時、事故等が発生した場合も同様に届出が必要です。
使用中の非自家用電気工作物についても、分析によりPCBを含有することが判明した場合や、使用を終えて廃止した後に低濃度 PCB廃棄物とみなして無害化処理することが予定されている場合は、すみやかに2の届出をしてください。
保管中・廃棄物の場合
使用を終えて廃止した低濃度PCB含有電気工作物は、低濃度PCB廃棄物になります。 廃棄物処理法の保管基準に準じて適正に保管し、年度末までに発生したもの(保管中のものも含む)及び処分したものの状況を、翌年度の6月末までに保管場所を管轄する 自治体(都道府県又は政令市)に届出をすることが必要です。詳細は各自治体のホームページをご覧いただくか以下の問合せ先までお問い合わせください。
適正処理
保管
低濃度PCB廃棄物は以下の廃棄物処理法施行規則第8条の13で規定する保管基準に従って処分するまで適正に保管する必要があります。
周囲に囲いがあること
見やすい箇所に掲示板を設けること
飛散、流出、地下浸透、悪臭発散を防止する措置を講じること
他のものが混入しないように仕切りを設けるなどの措置を講ずること
容器に入れ密封するなど揮発防止のために必要な措置を講ずること
高温にさらされないために必要な措置を講ずること
腐食の防止のために必要な措置を講ずること
保管事業場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者を置くこと
※PCB廃棄物専用の屋内保管が望ましい
収集運搬の委託
無害化処理施設への運搬は都道府県又は政令市の許可を得た収集運搬業者に委託して行います。なお、無害化処理認定事業者には収集運搬と処分を同時に行うところもあります。
無害化処理事業者への処理委託
低濃度PCB廃棄物は環境大臣の認定を受けた無害化処理認定業者又は都道府県・政令市の長の許可を得た民間の処理業者に委託して処理します。 無害化処理を行う事業者は右記のサイトで紹介されています。
無害化処理事業者によっては低濃度PCB廃棄物のうち廃電気機器の処理ができないところもあるのでご注意ください。
PCB廃棄物に関するお問い合わせ
埼玉県
-
◆埼玉県環境部産業廃棄物指導課
(さいたま市、川越市、越谷市、川口市を除く) TEL:048-830-3148 -
【 さいたま市 】
◆さいたま市環境局資源循環推進部産業廃棄物指導課
TEL:048-829-1607 -
【 川越市 】
◆川越市環境部産業廃棄物指導課
TEL:049-239-7007 -
【 越谷市 】
◆越谷市環境経済部廃棄物指導課
TEL:048-963-9188 -
【 川口市 】
◆川口市環境部産業廃棄物対策課
TEL:048-228-5380
千葉県
-
◆千葉県環境生活部廃棄物指導課
(千葉市、船橋市、柏市を除く)
TEL:043-223-2757 -
【 千葉市 】
◆千葉市環境局資源循環部産業廃棄物指導課
TEL:043-245-5682 -
【 船橋市 】
◆船橋市環境部廃棄物指導課
TEL:047-436-3812 -
【 柏市 】
◆柏市環境部産業廃棄物対策課
TEL:04-7167-1696
東京都
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◆東京都環境局資源循環推進部産業廃棄物対策課
(八王子市を除く)
TEL:03-5388-3573 -
【 八王子市 】
◆八王子市資源循環部廃棄物対策課
TEL:042-620-7458
神奈川県
-
◆神奈川県環境農政局環境部資源循環推進課
(横浜市、川崎市、横須賀市、相模原市を除く)
TEL:045-210-4151 -
【 横浜市 】
◆横浜市資源循環局事業系廃棄物対策部事業系廃棄物対策課
TEL:045-671-2513 -
【 川崎市 】
◆川崎市環境局生活環境部廃棄物指導課
TEL:044-200-0159 -
【 横須賀市 】
◆横須賀市環境部廃棄物対策課
TEL:046-822-8523 -
【 相模原市 】
◆相模原市環境経済局廃棄物指導課
TEL:042-769-8335