産業廃棄物の適正処理について

1.産業廃棄物とは?

はじめに

 平成30年度に全国で排出された廃棄物の量は、年間約4億2,155万トンです。
このうち、家庭などから発生する一般廃棄物は4,272万トン、工場や事業所から出る産業廃棄物は、3億7,883万トンという膨大な量になっています。この膨大な量の廃棄物が不適正に処理されると環境に重大な影響を与えるばかりでなく、元の環境に回復するためには多くの労力、長い時間、巨額の費用を要することになります。

○まずは、廃棄物を出さないことが重要です。
循環型社会形成推進基本法では、製品を生み出す段階から廃棄物が出ないものづくりや事業活動を求めています。

○廃棄物は、排出した者がこれを適正に処理することが基本です。
廃棄物処理法では「事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」とされ、廃棄物の排出事業者責任を強く求めています。排出した廃棄物の処理を委託した場合であっても、この業務を受託した会社が、不適正な処理を行っていると、委託者側にも排出者として、原状回復の責任や罰金が科せられることがあります。

産業廃棄物とは

 廃棄物とは自ら利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になった物をいい、大きく「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分けられます。
さらに、爆発性、毒性、感染性等の性状を有する廃棄物で、政令で定められたものについては、それぞれ「特別管理産業廃棄物」、「特別管理一般廃棄物」に分類されます。
(法第2条令第2条令第2条の4)

産業廃棄物とは図1

以下のものは、廃棄物処理法の規制対象外となります。

  • 気体状のもの
  • 放射性物質及びこれによって汚染されたもの
  • 港湾、河川等のしゅんせつに伴って生じる土砂その他これに類するもの
  • 漁業活動に伴って魚網にかかった水産動植物等であって、当該漁業活動を行った現場付近において排出したもの
  • 土砂及び専ら土地造成の目的になる土砂に準ずるもの
  • 有価物

 産業廃棄物は、廃棄物処理法により、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻など20種類の廃棄物であると定められています。この20種類の廃棄物は、事業活動の業態等により、産業廃棄物になるものとならないものに分類されます。

【産業廃棄物の種類】

法第2条第4項令第2条
産業廃棄物の種類 特定の業種等(13~19の廃棄物)
すべての業種に共通 1 燃え殼 特定の業種によるもの 13 紙くず 建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る)、パルプ、紙又は紙加工品の製造業、新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うものに限る)、出版業(印刷出版を行うものに限る)、製本業及び印刷物加工業に係るもの並びにPCBが塗布され、又は染み込んだものに限る
2 汚泥
3 廃油 14 木くず 建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る)、木材又は木製品の製造業(家具の製造業を含む)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業及び物品賃貸業に係るもの、貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材を含む)に係るもの並びにPCBが染み込んだものに限る
4 廃酸
5 廃アルカリ 15 繊維くず 建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る)、繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く)に係るもの及びPCBが染み込んだものに限る
6 廃プラスチック類
7 ゴムくず 16 動植物性残さ 食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物
8 金属くず
9 ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず 17 動物系固形不要物 と畜場法第3条第2項に規定すると畜場においてとさつし、又は解体した同条第1項に規定する獣畜及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第2条第6号に規定する食鳥処理場において食鳥処理をした同条第1号に規定する食鳥に係る固形状の不要物
10 鉱さい 18 動物のふん尿 畜産農業に係るものに限る
11 がれき類 19 動物の死体 畜産農業に係るものに限る
12 ばいじん   20 政令第13号廃棄物 1~19の産業廃棄物を処分するために処理したものであって、1~19に該当しないもの
特定の事業活動に伴う産業廃棄物の具体例は次のとおりです。

【産業廃棄物の具体例】

種類 代表例
紙くず 【紙・パルプ・紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業】製本くず等
【建設業】新築、改築、除去等に伴って生じた紙、板紙くず
木くず 【木材、木製品製造業、パルプ製造業】木材片、おがくず、バーク類等
【物品賃貸業】木製家具等
【建設業】新築、改築、除去等に伴って生ずるもの
【全業種】貨物の流通に使用した木製パレット(パレットへの貨物の積付けに使用した木材を含む)
繊維くず 【繊維工業】木綿、羊毛等の天然繊維くず
【建設業】新築、改築、除去等に伴って生ずるもの
動植物性残さ 【食料品、医薬品、香料製造業等】おから、のりかす、醸造かす等
動物系固形 不要物 【と畜場、食鳥処理場】牛、豚、食鳥等の不要物
動物のふん尿 【畜産農業】牛、馬、豚、にわとり等のふん尿
動物の死体 【畜産農業】牛、馬、豚、にわとり等の死体
政令13号廃棄物 産業廃棄物を処分するために処理したもの(ex.コンクリート固化物 等)
 産業廃棄物のうち、特に爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有し、他の廃棄物と区分して取扱わなければならないものを特別管理産業廃棄物といい、下記のものが定められています。

【特別管理産業廃棄物の具体例】

法第2条第5項及び令第2条の4
区分 主な分類 概要
特別管理産業廃棄物 廃油 揮発油類、灯油類、軽油類
廃酸 著しい腐食性を有するpH2.0以下の廃酸
廃アルカリ 著しい腐食性を有するpH12.5以上の廃アルカリ
感染性産業廃棄物 病院等から排出される産業廃棄物で、感染性病原体が含まれ若しくは付着しているおそれがあるもの
特定有害産業廃棄物 廃PCB等 廃PCB及びPCBを含む廃油
PCB汚染物 PCBが染みこんだ汚泥、PCBが塗布され若しくは染みこんだ紙くず、PCBが染みこんだ木くず若しくは繊維くず、PCBが付着・封入されたプラスチック類若しくは金属くず、PCBが付着した陶磁器くず若しくはがれき類
PCB処理物 廃PCB等又はPCB汚染物を処分するために処理したものでPCBを含むもの
指定下水汚泥 下水道法施行令第13条の4の規定により指定された汚泥
鉱さい 重金属等を含むもの
廃石綿等 石綿建材除去事業に係るもの又は特定粉じん発生施設が設置されている事業場から生じたもので飛散するおそれのあるもの
ばいじん、燃え殻 重金属等、ダイオキシン類を含むもの
廃油 有機塩素化合物等を含むもの
汚泥、廃酸、廃アルカリ 重金属等、PCB、有機塩素化合物、農薬等、ダイオキシン類を含むもの
■凡例
本資料中に示す表記(根拠法令)は、以下のとおりです。
法○条:廃棄物の処理及び清掃に関する法律第○条
令○条:同法施行令第○条
規則○条:同法施行規則○条

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