七都県市資源循環型社会づくり宣言

廃棄物処理の観点からの資源循環型社会の構築に向けて

 我々は、自然から採取した資源をもとに、ものをつくり、消費し、やがて不要となったものを廃棄し、自然にかえす、ものの循環の中で、便利で豊かな生活を享受してきた。
 しかし、その一方で、科学の発達により、自然の浄化・還元能力を超えた多様な素材によるものが生み出されるとともに、大量生産、大量消費、そして大量廃棄という、自然の還元能力を超えた一方通行の社会経済システムが形成され、地球環境への影響や貴重な資源の枯渇を招くなど、我々人類の存在基盤そのものまでも脅かそうとしている。
 七都県市は、我が国の人口の約4分の1を抱え、また、国内総生産の約3割を占めるなど、社会経済の中心として発展してきた。
 その結果、大量かつ多様な廃棄物が発生することとなり、焼却処理に伴うダイオキシン類や地球温暖化ガスの発生、最終処分場の逼迫など廃棄物処理をめぐる様々な問題が発生し、早急な解決が求められている。
 これらの問題を解決するためには、廃棄物の適正処理の確保のみならず、ものの循環を通して資源が円滑に還元され、最終処分に依存しない社会の実現を目指し、廃棄物の発生から処分の全ての過程において環境への負担を極力低減する「資源循環型社会」を構築することが必要である。
 このたび、七都県市は、廃棄物処理の観点から、これまでの社会経済システムを見直し、「資源循環型社会」の構築を目指していくことに合意した。
 七都県市の知事及び市長は、「資源循環型社会」の構築に向け、消費者、事業者、自治体等あらゆる関係者と協力して、廃棄物の徹底した発生・排出抑制や再資源化、適正処理に関する共同・協調した次の取組を推進していくことをここに宣言する。

1 再生品利用のためのガイドラインの策定やリサイクルの推進による古紙の需要拡大等、再生品の利用拡大に関する取り組みを推進する。
2 リサイクルコストの製品への内部化や最小化を図るため、経済的手法を活用した廃棄物の発生・排出抑制や再資源化の取り組みについて検討する。
3 溶融スラグ化事業、固形燃料化事業等の新たな処理システムの導入に向けた取組や、これらの再生資源の需要拡大に関する取り組みを推進する。
4 廃棄物の発生・排出抑制、再資源化、適正処理に関する広域的な普及啓発事業を推進する。
5 産業廃棄物の排出を最小にするため、複数の企業間において廃棄物を再生原料として活用するなどのゼロ・エミッション事業の推進について検討するとともに産業廃棄物処理に関する情報の共有化等の取組を推進する。
6 ダイオキシン類等の環境汚染物質の発生を抑制する新技術の調査・研究や都県が行う広域化事業等を支援する。
7 震災廃棄物の処理に関する相互援助のあり方等について調査・検討を行う。
8 廃棄物の発生・排出抑制、再資源化及び適正処理を促進するための業界自主基準の策定や必要な法制化に向けて、国や業界に働きかけるなど、必要な取り組みを推進する。
平成10年11月18日
七都県市首脳会議

座長 埼玉県知事  土屋 義彦
   千葉県知事  沼田 武
   東京都知事  青島 幸男
   神奈川県知事 岡崎 洋
   横浜市長   高秀 秀信
   川崎市長   高橋 清
   千葉市長   松井 旭

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